ROMANCE DAWN for the new world

Microsoft Azure を中心とした技術情報を書いています。

Azure Functions on Linux にカスタムのイメージをデプロイする

Azure Functions では、まだプレビューですが、Linux 上でホストできる機能が提供されいて、Docker コンテナでファンクションを動かすことができます。
今回は、ローカル環境で作成したファンクションを Docker ビルドして、Azure Functions にデプロイするところまでを試してみました。

環境構築

ローカルの開発環境には、Azure Functions Core Tools が必要です。
github.com
Azure Functions Core Tools には、ランタイムの Ver.1.x と 2.x の2つバージョンがあります。Linux の機能を使うには、Ver.2.x をインストールします。

$ sudo npm install -g azure-functions-core-tools@core --unsafe-perm true

今回は、Mac OS を利用しているので、unsafe-perm の引数を指定しています。

ローカル環境でファンクションを作成する

Azure Functions Core Tools を使って、ファンクションのテンプレートを作成します。init コマンドでは、テンプレートを作成するディレクトリ名(funcdockerapp)と docker の引数は必須です。

$ func init funcdockerapp --docker --sample

下記のようなディレクトリ構成が作成されます。

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Dockerfile は、このように定義されています。

FROM microsoft/azure-functions-runtime:v2.0.0-beta1
ENV AzureWebJobsScriptRoot=/home/site/wwwroot
COPY . /home/site/wwwroot

引数で sample を指定したので、JavaScript の HTTP trigger として、index.js にお馴染みのファンクションがサンプルとして追加されています。

module.exports = function (context, req) {
    context.log('JavaScript HTTP trigger function processed a request.');

    if (req.query.name || (req.body && req.body.name)) {
        context.res = {
            // status: 200, /* Defaults to 200 */
            body: 'Hello ' + (req.query.name || req.body.name)
        };
    }
    else {
        context.res = {
            status: 400,
            body: 'Please pass a name on the query string or in the request body'
        };
    }
    context.done();
};

ローカル環境でファンクションを実行する

start コマンドを使って、作成したファンクションのテンプレートをローカル環境で実行してみます。

$ func start

コマンドの実行結果に表示されている localhost:7071 にブラウザでアクセスすると、ファンクションのランタイムが実行されていることが分かります。

f:id:TonyTonyKun:20180121184246p:plain
HTTP trigger の URL にアクセスすると、結果が返ってきます。

$ curl http://localhost:7071/api/HttpFunction?name=gooer
Hello gooer

Docker Image にビルドすれば、ローカルのコンテナで動作確認することもできます。

$ docker build -t thara0402/funcapp:v0.1 .
$ docker run -p 8080:80 -it thara0402/funcapp:v0.1

Azure Functions にデプロイする

まず、先ほどビルドした Docker Image を Docker Hub にプッシュします。

$ docker push thara0402/funcapp:v0.1

続いて、Azure ポータルの Cloud Shell を利用して、デプロイに必要なリソースを作成します。

# リソースグループ
$ az group create --name gooner0116 --location westeurope

# Azure Storage アカウント
$ az storage account create --name gooner0116 --location westeurope --resource-group gooner0116 --sku Standard_LRS

# Linux App Service プラン
$ az appservice plan create --name gooner0116 --resource-group gooner0116 --sku S1 --is-linux

Docker Hub の Image を指定して、Azure Functions をデプロイします。

# Azure Functions
$ az functionapp create --name gooner0116 --storage-account gooner0116 --resource-group gooner0116 \
--plan gooner0116 --deployment-container-image-name thara0402/funcapp:v0.1

最後に、Azure Storage アカウントの接続文字列を構成して完了です。

# Azure Storage ConnectionString
$ storageConnectionString=$(az storage account show-connection-string \
--resource-group gooner0116 --name gooner0116 \
--query connectionString --output tsv)

# Azure Functions Config
$ az functionapp config appsettings set --name gooner0116 \
--resource-group gooner0116 \
--settings AzureWebJobsDashboard=$storageConnectionString \
AzureWebJobsStorage=$storageConnectionString

Azure ポータルを見ると、Azure Functions にデプロイされていることが確認でき、テストも成功します。
f:id:TonyTonyKun:20180121184308p:plain
上記の画面を見ると分かるように、読み取り専用のファンクションとしてデプロイされるようです。
ファンクションを更新する場合には、Docker Image を別のタグで作成し、az functionapp create コマンドを実行します。

まとめ

他のクラウドベンダーからもサーバーレスなサービスは提供されていますが、 Azure Functions ではローカル環境での開発がサポートされています。ただ、ローカル環境とデプロイ環境の違いが原因で予期せぬ動作をする可能性もあるので、コンテナで作っておけば動作環境に依存しないので安心です。
コンテナとサーバーレスの相性はいいと思うので、うまく活用していきたい機能です。

最後に

この記事は、Azure もくもく会@新宿 # 15 に参加したときに試してみた内容です。
azure-mokumoku.connpass.com
西新宿にあるネクストスケープさんの会議室で、10名ぐらいが集まって Azure ネタをもくもくしていました。
Azure 絡みならテーマは自由で、最後に簡単な成果発表がありました。このぐらいの人数だと、発表内容について、あれこれと話がしやすいのは良いなと思いました。
自宅でもくもくするのも良いですが、仕事帰りに集まってもくもくするのも楽しいですね。
主催者の方が記事を書いていますので、こちらもぜひ読んでみてください。
memobog.azurewebsites.net

Azure Container Service(AKS)にデプロイした Grafana で Azure のメトリクスを監視する

この記事は、Azure Advent Calendar 2017 の 10 日目 の記事です。
qiita.com
OSS のモニタリングツールである Grafana を使って、Azure のメトリクスを監視してみました。元ネタは、こちらのブログですが、Grafana を Azure Marketplace ではなく、Azure Container Service(AKS)にデプロイしました。

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Azure Container Service(AKS)を作成する

最近、Azure Portal からも AKS が作れるようになりました。公式ドキュメントの手順に従って、作成します。
docs.microsoft.com
AKS の作成が完了したら、Azure Cloud Shell を使って、AKS に接続するための資格情報を取得します。

$ az aks get-credentials --resource-group gooner1210 --name gooner1210
Merged "gooner1210" as current context in /home/hara/.kube/config

$ kubectl get nodes
NAME                       STATUS    ROLES     AGE       VERSION
aks-agentpool-63390745-0   Ready     agent     10m       v1.7.7
aks-agentpool-63390745-1   Ready     agent     10m       v1.7.7
aks-agentpool-63390745-2   Ready     agent     10m       v1.7.7

Grafanaをデプロイする

Helm のリポジトリで公開されている Grafana の Charts を使って、AKS にデプロイします。
まず、Helm をセットアップします。

$ helm init
HELM_HOME has been configured at /home/hara/.helm.

Tiller (the Helm server-side component) has been installed into your Kubernetes Cluster.
Happy Helming!

Azure のメトリクスを取得するためには、Grafana のプラグインをインストールする必要があります。
grafana.com
Grafana のプラグインは、helm install コマンドのパラメータで指定できるので、次のようなコマンドでインストールできます。

$ helm install --name gf \
--set server.installPlugins=grafana-azure-monitor-datasource,\
server.adminPassword=admin,\
server.service.type=LoadBalancer,\
server.persistentVolume.storageClass=default \
stable/grafana

プラグイン以外のパラメータは、お好みで指定してください。

Parameter Value Description
server.installPlugins grafana-azure-monitor-datasource プラグイン名
server.adminPassword admin 管理者アカウント(admin)のパスワード
server.service.type LoadBalancer ダッシュボードを外部IPで公開
server.persistentVolume.storageClass default データをディスクに永続化

デプロイが完了したら、Grafana の External IP を確認します。

$ kubectl get svc
NAME         TYPE           CLUSTER-IP     EXTERNAL-IP     PORT(S)        AGE
gf-grafana   LoadBalancer   10.0.210.171   52.179.12.156   80:31032/TCP   7m
kubernetes   ClusterIP      10.0.0.1       <none>          443/TCP        1h

ブラウザで Grafana の External IP にアクセスすると、ログイン画面が表示されます。

f:id:TonyTonyKun:20171210112709p:plain

Grafanaのデータソースを追加する

Grafana の add data source を選択して、Azure のメトリクスをデータソースとして登録します。

f:id:TonyTonyKun:20171210112728p:plain

任意の名前を入力して、Type で「Azure Monitor」を選択します。Azure Monitor API Details には、サブスクリプションIDとサービスプリンシパルを入力します。Application Insights Details はオプションなので、空欄のままで進めます。

Grafanaのダッシュボードを作成する

Grafana の New Dashboard を選択して、Azure のメトリクスを表示するダッシュボードを作成します。今回は Graph を使って、Azure Web Apps にデプロイされているアプリケーションのメトリクスを表示してみます。

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Panel Title の edit をクリックして、Metrics タブからメトリクスを取得するアプリケーションのリソースやメトリクスの種類を選択します。選択候補がプルダウンで表示されるので、簡単にダッシュボードを作成できます。

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2つのアプリケーションの CPU Time と AverageMemoryWorkingSet を 表示することができました。

まとめ

Grafana を使って、Azure のメトリクスを表示するダッシュボードを作成してみました。
このプラグインをインストールすると、Azure Monitor のほかに、Application Insights のメトリクスも取得できます。
Grafana のデータソースには、AWS の CloudWatch や OSS の Prometheus も指定できるので、Azure に限らず活用できる監視ツールだと思います。

書籍「はじめてのSpring Boot」の感想

これまで .NET を使って開発してきたのですが、仕事で Java を使う機会があったので、「はじめてのSpring Boot」を読みました。

どんな書籍なのか?

この書籍は、これから Spring Boot を学ぼうとしている初心者に向けた入門書です。
Spring Framework の DI やデータアクセスといった基礎から始まり、Spring Boot の良さを解説しながら、ステップバイステップで Web アプリケーションを構築できます。
Spring Boot は、公式ドキュメントが充実していますし、ネット上にも情報は山ほどありますが、体系的に日本語で学習できるところが良かったです。

  1. Spring Boot とは
  2. 速習 Spring Framework
  3. Spring Boot による Web アプリ開発
  4. PaaS 「Cloud Foundry」にデプロイ
  5. Spring Boot におけるテスト

書籍で解説するサンプルプログラムや誤植については、GitHub で公開されているため、すぐにアプリケーションを動かすこともできますし、コードのタイプミスで悩むこともないので安心です。
github.com

Spring Boot アプリケーションを Azure にデプロイする

この書籍では Cloud Foundry にデプロイする方法が紹介されていますが、ここでは Azure にデプロイしてみます。

Azure Web App にデプロイする

Azure Web App にデプロイするためには、Spring Boot アプリケーションを配布するための jar ファイルと Web.config が必要です。
まずは、Maven のコマンドで jar ファイルを作成します。

$ ./mvnw package

次に、jar ファイルのパスを設定した Web.config を作成します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<configuration>
  <system.webServer>
    <handlers>
      <add name="httpPlatformHandler" path="*" verb="*" modules="httpPlatformHandler" resourceType="Unspecified" />
    </handlers>
    <httpPlatform processPath="%JAVA_HOME%\bin\java.exe"
        arguments="-Djava.net.preferIPv4Stack=true -Dserver.port=%HTTP_PLATFORM_PORT% -jar &quot;%HOME%\site\wwwroot\demo-0.0.1-SNAPSHOT.jar&quot;">
    </httpPlatform>
  </system.webServer>
</configuration>

Azure ポータルから Advanced Tools(Kudu)を開いて、jar ファイルと Web.config を「d:¥home¥site¥wwwroot」にアップロードすれば、デプロイできます。

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Azure Web App for Containers にデプロイする

Azure Web App for Containers にデプロイするためには、Spring Boot アプリケーションをコンテナ化する必要があります。

FROM openjdk:8-jdk-alpine
VOLUME /tmp
ADD target/helloworld-0.0.1-SNAPSHOT.jar app.jar
ENV JAVA_OPTS=""
EXPOSE 8080
ENTRYPOINT exec java $JAVA_OPTS -Djava.security.egd=file:/dev/./urandom -jar /app.jar

Dockerfile を作成し、Docker コマンドでビルドしたイメージを Docker Hub にプッシュしておきます。

$ docker build -t thara0402/sbapp:latest ./
$ docker push thara0402/sbapp:latest

Azure ポータルから Docker Container の画面で、プッシュした Docker イメージの URL を指定すれば、デプロイできます。

f:id:TonyTonyKun:20171130010248p:plain

まとめ

この書籍は、Java や .NET など何かしらの言語での開発経験があり、これから Spring Boot を学びたい人にお勧めできる内容です。
まずは、アプリケーションを作って感触をつかみ、そのあとに、書籍にでてくる用語を詳しく調べたり、Spring Boot の公式ドキュメントを利用して理解を深めていくのが良いと思います。