ROMANCE DAWN for the new world

Microsoft Azure を中心とした技術情報を書いています。

書籍「Azureの知識地図 〜クラウドの基礎から実装・運用管理まで」の感想

Microsoft Azure の初学者向けの書籍「Azureの知識地図 〜クラウドの基礎から実装・運用管理まで」が出版されました。著者の土田さんから書籍をご恵贈いただいたので、早速読んでみました。

書籍情報

  • 目的
    • Microsoft が公開している Azure の公式ドキュメントに書いてあることがわかるようになる
  • 対象とする読者
    • 今までパブリッククラウドを使ったことがない方
    • Azure の基礎と全体像を体系的に学びたい方
  • 目次
    • 第1章 クラウドサービスとAzureの基礎
    • 第2章 AzureのIaaSを知ろう
    • 第3章 AzureのPaaSを知ろう
    • 第4章 Azureでシステムを構築・運用しよう
    • 第5章 Azureの知識の深め方を知ろう

どんな書籍なのか

良かったところ

この書籍は、ゼロから Azure を学びたい人が全体像を体系的に理解できる構成になっています。第1章でサブスクリプションやリソースグループなどの概念(用語)を解説したうえで、第2章以降から IaaS や PaaS の代表的なサービスを紹介する流れになっており、広さと浅さが丁度いいバランスだと思いました。
それに加えて、個人的に良かったと感じたところを3つほど挙げてみます。

  • Azure 固有のサービス名と専門用語の関連が視覚的に整理されたキーワードマップ
  • 歴史的背景からの表記ゆれ(App Service と Web App)や日本語翻訳特有の分かり難さ(関数アプリと関数の違い)の説明があり、公式ドキュメントを意識していること
  • Azure サービスの機能説明だけでなく、App Service プランの分け方、サービスエンドポイントとプライベートエンドポイントの使い分けなどの実用的なコラム

正直、公式ドキュメントには取っ付き難くさがあり、内容を理解できるようになるまでには、ある程度の知識や経験が必要だと感じています。
この書籍を読むことで、Azure の気になる部分やより詳細を調べたい場合に、公式ドキュメントを上手く活用できるようになると思います。

難しかったところ

第4章では、Cloud Adoption Framework(CAF)と Well-Architected Framework(W-AF)に則ったアーキテクチャ設計を解説する節がありますが、対象とする読者には難易度が高そうだと感じました。アーキテクチャセンターのシナリオ紹介も含めて、第5章で軽く紹介する程度でもよかったかもしれません。

次のステップに向けて

第5章にあるように、次のステップとして認定資格を取得するのがお勧めです。この書籍を読み終えた読者は、受験対策として公式ドキュメントを読んで理解を深めることができるようになっているはずです。巻末の MCP ロードマップが分かりやすいので、まずは AZ-900 からチャレンジしましょう。(余談ですが、弊社でもこのような MCP ラーニングパスを定義しています。)

まとめ

これから Azure を初めて学ぶ方にお勧めするとしたらこの書籍です。この春入社した新入社員に読んでもらうと良さそうです。
この地図を片手に、Azure の世界やその楽しさを知り、エンジニアとしての可能性を広げていってほしいです。

最後に

この書籍を出版した経緯を著者の土田さんがまとめているので、こちらもご参照ください。
zenn.dev